　『あの時』　

そう言えば
何時の事だったっけ
そう言えば
何時の事だったろう
　
　
こうやって
こうして
みんながかえった　こうえんで
みんないなくなった　おすなばで
　
まっかなゆうひ　にらんでた
しずめ
はやく
しずめ
って
　
だれかのわすれもの
こわれたおもちゃ
だれかの
おもちゃ
あかくそまって
かたむいて
すなにうもれて
すなにまみれて
　
ごめんなさい
ほんとはね
たすけてあげたかったんだよ
ほんとはね
ごめんなさい
　
でもさ
きみたちは
ぼくのもんじゃないからね
ごめんなさい
　
どうしようも
どうしようも
なっかった
　
だから
だから
ぼくは
　
なにもできないから
だから
だから
ぼくはね
　
なかまになろうと
なかまにしてもらおうと
おなじになろうと
いっしょになろうって
　
すなかぶってたんだよ
ゆうひをにらみながら
すなを
すなを
かぶったんだ
　
まっかなゆうひ
しずめ
はやく
しずめ
　
ぼくも
うもれてしまえって
　
そうすれば
そうなれば
ぼくらは
いっしょになれるかもって
　
　
あの時
あれから
どうなったんだろう
その時
それから
何が起きたんだろう
　
また今日も
皆が帰った公園が
誰もいない砂場が
夕日に染まった風景が
知らず知らずのうちに
目に入ってきて
　
僕は、と言えば
僕は、と言えば
　
それを横目で眺めつつ
それを横目で睨みつつ
　
泣く事もできず
笑う事もできず
　
ただ
ただ
　
背を向けて
背を向けて
　
そう言えば
あの時
あれから
どうなったんだろう
その時
それから
何が起きたんだろう
　
そう言えば
そう言えば
　
あの時
　
　