夏至付近


 
 

 

「 月の陰 」

シャムシールの月の陰
網戸を抜けて
くび に落ち
 

 

 

「 夜啼く烏 」

夜啼く烏の影燃えて
東へ西へ走る空
 

 
 
 

「 過客 」

慣れて染まった
今宵に告げる
言葉のひとつも
浮かばぬうちに
迎える明日の
ただ眩しくて
 

 
 
 

「 四角い空 」

窓が切り取る四角い空は
寄るでもなく
離れるでもなく
依然梅雨のままで
時の流れるは
いつものように変わりなく
 

 
 
 

 
 
 

「 夏至の夜 」

もっ、いっかぁ〜
なんて、ふと思う
 
夏至の夜の
あまりに深い
その夜の底
 
まっ、いっかぁ〜
なんて、ふとも思う
 

 
 
 
 
 

 
 
 
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