ウォーレスの海の家

− このワシを謀 たばか ったのでは −



「いやぁ、それにしてもめでたいじゃないか。ええっ」
「どうしたんだい、いきなり、何か良いことでもあったのか」
「おい、おい、それはないじゃろ」
「それはって、どれだい」
「だから、今日はフレーム版の開設一周年記念日じゃろ」
「大丈夫かい、じいさん」
「そう言うおまえさんこそ、どうなんじゃ」
「開設記念日なら昨日だったじゃないか」
「なに、昨日じゃと。はて面妖な。昨日は確か明日だと・・・」
「いいかい、今日は3月1日だよ」
「なんじゃと、今日は29日じゃないのか。29日は一体どこへ行ってしまったんじゃ、
ひょっとしておまえさん、どこぞに隠しおったな」
「何言ってるんだい。今年は平年だよ、閏年じゃないよ。
だから2月は28日まで、29日は・・・」
「まっ、まさか、お主、このワシを謀 たばか ったのでは・・・」
「おおげさな。覚えてないかい、
400年に一度の特異日を記念してフレーム版を作ったんだよ」
「ワシはな、自慢じゃないが過去なんざ、顧みたことがないんでな・・・」
「記念日には必ず顔出すくせに」
「現在を祝ってるんじゃよ・・・」
「良い機会さ、一頁程戻って、『400年に一度の・・・』ってのを見るってのも」
「いや、やめとくよ。厭な予感がする・・・」
「とにかくフレーム版の次の記念日は399年後さ、公式決定だよ」
「そうしとくさ。しかしじゃな、三年後にも29日は来そうな・・・」
「重みが違うんだとさ」
「同じ一日に重みの違いが・・・」
「あたしに言われてもね」
「そもそも日付なんざ、どこぞのだれぞが便宜上つけただけじゃ・・・」
「誰かが言ってたよ”えてして、人生とはこんなモンさね”って」
「はんっ、人生にな確かを求めるヤツなんざぁ・・・」
「おい、じいさん。ホントに大丈夫かい。なんか今日は歯切れが悪い気がするけど」
「そりゃ、どこぞの、だれぞに言葉尻なんざ取られたりしたら・・・」
「心配するなよ、あんたの言葉尻捕らえようとする勇者なんか」
「するってぇと、なんじゃぁ。最近、もれ承ってくる俳諧の老人とやらに・・・」
「俳諧。。。うっ、字が違ってるよ。まっ、あんたなら、怪獣相手でも懐柔できるさ」
「ワシの名声はそこまで広まって・・・、戦わずして相手は臆すると・・・」
「だからさ、戦うまでもないんだよ」
「なにを、ワケの分からないことを・・・」
「あんたは、件のご老体に遭うことはないよ」
「なぜ、そこまで言いきれるんじゃ」
「だからさっ。ふぅ。まっ、ドッペルゲンガーなら・・・」
「なに、ドッペル某というのか。そいつぁ残念じゃ。わしはドイツ語はあまり・・・」
「よほど気にかかるんだな。
まさかあんた、新たなライバル出現だなんて思っちゃいないよな」
「おいおい。よし、こうなりゃワシは・・・」
「朝まで飲んでやるだろ」
「おお、その手があったか」
「その手がって、どうするつもりだったんだ」
「いや、チョット外に出て。そのドッペルもかくやと言うような活躍をと」
「どっちにしろ、被害は計り知れないな」
「んっ、何か言ったか」
「えっ、ああ、二日続けて顔出したんだ。
百科全書の海の家の項、更新した方がいいんじゃないかっていったのさ」
「なんと、二人だけでフレーム版の誕生祝いをしようと言うのか」
「誰もそんなこと・・・」
「おいおい、何ブツブツ言っとるんじゃ」
「29日があれば一日で済んだモノを、29日がないおかげで、二日続けて・・・・・・。
ああぁ、399年後が待ち遠しいよ」
「ふぉっ、ふぉっ、ふぉ。なんじゃ、おまえさんも399年後を楽しみにしておったのか。
まっ、そんときはじゃ、お互い大いに盛り上がろうぞ」
「いや、そういう意味じゃ・・・」
「そうじゃ、そのとおり。今を忘れちゃいかんて。今をな」
「だから・・・」
「そうじゃ、今は宝じゃ。って、どういう意味じゃ?」
「・・・・・・」


1,Mar,2001


 

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