彼方へ、そして・・・ 
断続寓(愚)話 『 彼方へ、そして・・・ 』 その七



   その七  そりゃなんだ
 
 
 頭がいっぱい詮方ちゃん。
 騒ぎを余所 よそ に沈んでく。
 詮ちゃんを心配したのか、そうなんだ。
 その輪はだんだん、縮んでく。
 それでも回る、そうなんだ。
 今にも鼻先かすめそう。
 
 心もいっぱい詮方ちゃん 。
 無意識に、その手を伸ばした詮方ちゃん。
 近くの小さい、そうなんだ。
 知らずに掴んだ、そうなんだ。
 手のひらでころころ転がす、そうなんだ。
 
 びっくりしたのは、そうなんだ。
 ころころ、ころころなすがまま。
 やっと気づいた詮方ちゃん。
 思わず放す、そうなんだ。
 びっくりしたのは、そうなんだ。
 慌ててその手を飛び出した。
 目が回ったのか、そうなんだ。
 なぜかまっすぐ飛んでいく。
 
 ただただびっくり、そうなんだ。
 思わず見つめる詮方ちゃん、しばらくそのまま固まって。
 
 少しして落ち着いたのか、そうなんだ。
 いつものように回り出す。
 くるくるぐるり、くるぐるり。
 ほっと一息、詮方ちゃん。
 でも待って、さっきとどこか違うよう。
 さっきと何か違ってる。
 
 よくよく見ると、そうなんだ。
 回る真ん中、そうなんだ、回っているのもそうなんだ。
 何が起こった、そうなんだ。
 一体どうしたそりゃなんだ。
 
 詮ちゃん試しにもう一つ、掴んで投げるそうなんだ。
 飛んでいくのは、そうなんだ。
 目指すは、大きいそうなんだ。
 捕らえて回る、そりゃなんだ。
 何度やっても同じこと。
 いつしか近くの、そうなんだ。
 気が付きゃみんな、そりゃなんだ。
 
 回っているよ、そりゃなんだ。
 その真ん中に、そうなんだ。
 踊っているよ、そうなんだ。
 その真ん中に、詮方ちゃん。
 すべての真ん中、詮方ちゃん。
 遠くで、とにかく瞬いた。
 


 
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風鏡譚 −ふうきょうたん−
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