彼方へ、そして・・・ 
断続寓(愚)話 『 彼方へ、そして・・・ 』 その十六


 

   その十六 夢幻泡影 むげんほうよう 、泡沫夢幻 ほうまつむげん
 
 
 
夢幻泡影 むげんほうよう 、泡沫夢幻 ほうまつむげん
まほらまを無間 むげん の底と化すもよし。
すべては、汝の意の儘 まま に。
して、主は誰ぞ。
 
唯殿、先程会った。
 
わしにかね。
はてさて、覚えておらんがね。
初対面じゃないのかの。
 
つい、さっき。
すべての少し外側で。
果てのちょっと外側で。
どこ、そこ、ここの、この場所で。
 
なるほど、そういうことか。
そういうことなら。ふむふむ、ふぉっ、ふぉ。
では、その時に相見 まみ えましょうぞ。
 
待って、お願い。
さっぱりわからない。
一体、何が起きたのか。
それとも、何が起きなかったのか。
教えて、唯殿。
 
はてさて、困ったもんじゃのう。
察するところ、主が過去に会ったわしは、未来のわしで。
今、会っているのは現在のわし、と言う事じゃな。
わしが今、会っているのは、現在の主で。
これから会うであろう主は、過去の主とも言えるがの。
 
さっぱりわからない。
 
要するにじゃ。
主とわしの時は、同じ方向に流れておらぬ。
まっ、そういう事かの。
これ以上、話してしまうと、
主に初めて会ったときの楽しみが無くなってしまうでの。
今は、ここまで。と言う事じゃ。
 
でも、さっき会ったとき。
何も。
 
すべては、汝の意の儘に、と言うけれど。
意識してか、せずかは知らぬ事なれど、
時間軸をいじるとは。
なかなかの、もんじゃの。ふぉっ、ふぉっ、ふぉ。
 
唯殿。


                                    

 
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