　『宜候』　

たまにはさ
子供の頃を懐かしんで
血が再び滲むほど
瘡蓋を剥いでみるというのは
如何なものかね
　
だからさ
あれからかなりの年月を経てるわけだから
ひょっとしたら
なにか違う物が顔を出して来るは思わないかい
いや　ひょっとしなくてもでもいいから
ねっ　そうは思わないかい
　
そうそう
そのむず痒い
その痛痒い
その甲冑の奥に潜んだ
その醜悪な鎧に隠れた
まさに今青緑の汗を垂らし
額に皺を寄せている
そやつの正体が
今ならわかるような
今だからこそ　わかるような気がしないかい
今ならね
　
ふふっ
どうやら　君ものって来たようだね
それでは　ひとつやってみようか
おっと　その前に準備が完璧か
もう一度だけ　確認してみようか
　
ふふふっ
どうやら　すべてにおいて問題はないようだね
よし　それでは　そろそろ
それでは　そろそろ
行くとしようか
未知なる既知へ
きちなるみちへと