瞬夏


 
雲を連れ
影を引きずり
夏を歩く
 
木々の吐息は長く地面に溶け入り
鳥の溜息はその形留める事無く移ろい流れ
 
そして来たる夕立風に肩を叩かれ
思わず空を見上げるも
そこにはただ青の空が広がるのみ
 
いつか落ちたる木の実を踏み
亀が腹を陽に向け沈み去る横
花の赤赤の蜻蛉 とんぼ が踊るを見て
なぜか口に干し草の香り浮かぶ
 
雲を連れ
影を引きずり
夏を歩く
 
ベンチで主 あるじ 無き傘が戦 そよ
 
雲を連れ
影を引きずり
夏を歩く
 
やがて風は眠る
 
また夏を歩く


 
 
 
 
 
 
 
 
 
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