残夏
未だ居座る
夏の激しい光の中
セミがひとつ
片羽根を
主の居ない蜘蛛の巣に
絡め捕られて
片羽根を広げたまま
ぶらぶらと風に揺られ
身動ぎもせず
うつろな目で
あの空をただじっと
眺めていた
未だ居座る
夏の激しい光の中
空の高くでは
秋の涼しいが風が流れ
雲を掃いていた
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