醒めた月の下で

  
  
  
 
  
ふと
通り過ぎる
風達が
目を誘う
 
     
     
  
空は冬
青く
高く
 
影は長く緩やかに
風は心地良く肌を撫で
 
足元から
漏れ聞こえる
秋の虫の声
 
そんな今
 
  
空は秋
青く
遠く
 
影は地に染み込んで
風は強く北から
 
足元から
漏れ聞こえるのは
落ち葉の砕ける音
 
そんな今
     
  
天頂を目指す太陽
傾き続ける月
 
ふと思い出す
夏のあの光景
 
 
熱く強い
湿った風を浴びて
 
ふと思い出す
夏のあの臭い
 
  
傾き続ける太陽
天頂を目指す月
 
ふと思い出す
冬のあの光景
 
 
冷たく強い
乾いた風を浴びて
 
ふと思い出す
冬のあの臭い
     
 
  
ふと
身を置いてしまった
時の空隙は
心地良くも
居場所は無く
 
     

秋は
残り香を残しつつも
その後ろ背は
朧気 おぼろげ
 
訪れるはずの冬は
その気配を
探り当てる事は
未だに
 
 
そんな
そんな
狭間の今
そんな混濁に
ただ
身を漂わせ
 
ふと思う
いったい何を
求めているのだろうと
 

秋は
残像を残しつつも
その後ろ背は
既に彼方へ
 
訪れるはずの冬は
その気配を
うかが わせつつも
未だに
 
 
そんな
そんな
狭間の今
そんな混濁に
ただ
身を震わせ
 
ふと思う
いったい何を
待っているのだろうか
 
 
 
 
  
ふと
目があった月は
ただ
冷ややかに
笑っていた
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
gosadon's tweetsCopyright ©2020 gosadon All rights reserved

『 …driftwood 』
『 hobo jungle 』『 ごさどん.ねっと 』
Copyright ©2001-2024 gosadon All rights reserved