ふと 通り過ぎる 風達が 目を誘う |
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空は冬 青く 高く 影は長く緩やかに 風は心地良く肌を撫で 足元から 漏れ聞こえる 秋の虫の声 そんな今 |
空は秋 青く 遠く 影は地に染み込んで 風は強く北から 足元から 漏れ聞こえるのは 落ち葉の砕ける音 そんな今 |
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天頂を目指す太陽 傾き続ける月 ふと思い出す 夏のあの光景 熱く強い 湿った風を浴びて ふと思い出す 夏のあの臭い |
傾き続ける太陽 天頂を目指す月 ふと思い出す 冬のあの光景 冷たく強い 乾いた風を浴びて ふと思い出す 冬のあの臭い |
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ふと 身を置いてしまった 時の空隙は 心地良くも 居場所は無く |
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秋は 残り香を残しつつも その後ろ背は 朧気 おぼろげ に 訪れるはずの冬は その気配を 探り当てる事は 未だに そんな そんな 狭間の今 そんな混濁に ただ 身を漂わせ ふと思う いったい何を 求めているのだろうと |
秋は 残像を残しつつも その後ろ背は 既に彼方へ 訪れるはずの冬は その気配を 窺 うかが わせつつも 未だに そんな そんな 狭間の今 そんな混濁に ただ 身を震わせ ふと思う いったい何を 待っているのだろうか |
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ふと 目があった月は ただ 冷ややかに 笑っていた |