　『月を探して』　

　
その時
そろそろ見え始める
月を探していた
　
　
穏やかな秋の夕暮れ
柔らかな秋の日射し
　
零れ落ちて
水面に戯れ踊る
太陽の欠片達
　
鳥をからかい
影をからかい
弾け踊る
　
時には
水面を飛び出し
辺りの木々に
纏わり付いて
　
　
そろそろ見え始める
月を探していた
　
　
穏やかな秋の夕暮れ
柔らかな秋の日射しの中
　
零れ落ちて
水面に戯れ踊る
太陽の欠片達
　
小さな光の群れは
徐々に長さを増し
その先の小さな橋を
潜り抜けあるいは跨ぎ越し
徐々に速度を上げ
さらに先へと移動している
　
明日か冬か
彼等は
何処を目指しているのだろう
　
　
依然
月を探している
　
　
穏やかな秋の夕暮れ
柔らかな秋の日射しを背に
　
　
そんな今
　
　
月は未だ
見付からない

　
　