『 雨酔い - あめよい -

 
 
 

  「 続く雨 」
 
 
またしても

ただただ
だらだらと
続く雨
 
 
忘れた頃に
音を立て
窓を殴るのは
退屈しないようにの
気遣いなのか
 
もし
そうだったら
それは
余計なお世話だと
 
 
忘れた頃に
音を立て
窓を殴る雨
 
ただ
続く雨
 
 
 
 
   
   
 
 
 
   
  「 柔らかい雨 」
 
 
今日の
柔らかい雨は
なぜか
身体に刺さり
 
今日の
優しい雨は
なぜか
身体から抜けず
 
今日の
暖かいい雨は
なぜか
いつものように
 
ただ
冷たく
笑い返すだけ
 
 
 
 
   
 
 
 
 
  「 今 」
 
 
雲に
押さえ付けられ
風に
行く手を阻まれ
 
雨に
道を失う
そんな今
 
 
ふと
漏れる
ため息さえ
瞬く間に
散り去って
 
雲に
のし掛かられ
風に
有らぬ方に誘われ
 
雨に
また
笑われる
 
 
それが今
 
 
 
 
 
   
 
 
 

  「 雨酔い 」
 
 
ただ独つ
後に残った
その日の雨は
 
ただただ
しとしと
だらだらと
 
空を冷まし
地を冷まし
湿気を増やし
 
 
ただ独つ
後に残った
その日の雨は
 
微笑みながら
心を穿 うが
身を削いで
 
ただただ
ただただ
微笑みながら
消え去って
 
 
ただただ
しとしと
だらだらと
 
 
そんな
そんな
後に残った
かの抜け殻は
 
進に進めず
戻るに戻れず
ただ茫 ぼう として
竦むのみ
 
ただ
だらだらと
 
 
また独つ程
消えない何かが
後に居座る
馴染みの雨の日
 
 
 
 
   
   
 
 
 
   
  「 混濁 」
 
 
雨に打たれ
雨に殴られ
息つく間もなく
雨に抱きつかれ
 
空から
狙いを定め
舞い降りる
雨粒よりも
 
地面に
安住を見いだした
かつての雨の方が
遙かに難敵だと
思い知らされる
 
いったい
彼等は
何を
伝えたいんだろう
何を
求めているのだろうか
 
雨に打たれ
雨に殴られ
雨に抱きつかれ
雨に塗 まみ
 
ふと
思う
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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