『
北 』
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皆が皆
ただ崩れて行く今 皆が皆 また壊れていく今 ただひとつ まだひとつ そこに残り そこにいて 素知らぬ顔で 皆が皆 ただ崩れて行く中で 皆が皆 また壊れていく中で ただひとつ またひとつ |
『
西 』
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『
東 』
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断ちましょうか
割きましょうか それとも他の方法で 今日の風が ふと囁いた すれ違いざま あいにく今日は 鈍器の持ち合わせは 有りませぬ故 体温奪うのが精一杯ですが 今日の風が ふと呟いた すれ違いざま 今日の風は何故か この哀れな耳が お気に入りのようで 遠慮しても 断っても 次から次に 声高に訪れて 同じ言葉を繰り返す |
陽に研
と がれ
町に削られ その風は 鳥につつかれ 人に無視され その風は いつしか知れず 誰にも知られず 醒めた笑みを そっと置いて ひとり 静かに 去って行きました |
『
南 』
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懐に
秘めて持ちたる その春が またその 御身を 焼きて焦がすか なぜ今に 暴れる なぜ今に 今を歌う |