『 螢啼く 』
闇ひとつ螢啼く
螢 涙 光りに 変えて
主なき 畳の縁に 月と蟋蟀
むし
年落ちて
月を追いかけ
日が昇る
いくつもの夢を重ねつ供養せず
どこへ行く
どこへ帰るか
赤トンボ
また今日も奈落の底まで墓参り
痩せ雀
軒に寄り添い
菜種梅雨
後れ髪仄
ほの
かに香る十三夜
春霞橋の上から富士探し
どこへと続く奈落坂
夢の間に
たゆたいたゆたう
月の舟
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