立秋辺り
鬼燈
ほおずき
色の夕日
斜めより
果汁を垂らし
間近を弾き
彼方を呼ぶ
風のみ強く
風のみ元気で
風のみ浮かれて
このくらいの薄さの青が好きと言って
舞う蜻蛉
まるで油紙のような
セミの羽が一枚
秋風と共に
空から降りてきて
雲は消え
月は糸
空の下
昼の熱は
依然この身に宿り
焦がして止まず
欲する明日は
まだ遠く
秋風に
一人で喚
わめ
く
風鈴の夜明け
ひぐらしは
初めての夜を迎え
力なく
西方
にしかた
に
向日葵の夢
傾いて
太陽は高くぼやけた空の果て
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