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            | 鎧の奥で呟いたもういいよ
 もういいかいの声聞く前に
 
 
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                | 地に落ちて
 弾け損ねた
 遠い日の
 花火の思い
 知るわけもなく
 
 
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              | 夏の日の海に揺蕩 たゆた う太陽はまた空までも朱に染めにけり
 
 
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              | 目 ま の裏で花火毀 こぼ れて惣暗 つつくら に
 止まれ涙よ今闇の間に
 
 声目星この上何を求め咲く応えもせずに花火は笑んで
 
 
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                | 梅雨の直中 
                  ただなか に 
 陽を返し青き実を抱き仁王立ち枯れたトマトのまた勇ましく
 
 
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                | 『 
                  雪迎え 』 
 あくまでも
 高く昇りて
 雪迎え
 冬陽を浴びて
 風と戦 そよ ぎつ
 
 何処消ゆ
 輝く空に
 また今日も
 飛蚊 ひぶん と戯る
 漂う遊糸 ゆうし
 
 見上げれば遙かに逃げしその空もいつしか冬を漁 あさ りて喰いつ
 
 
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                  | 『 
                    十六夜 』 
 十六夜や過ぎし昨夜 ゆうべ はまだ内に満ちたる気持ちなぜか痩せゆく
 
 
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                  | 『 
                    天の川 』 
 笹を背に丸め棄てたる短冊の夕空高く川を目指して
 
 
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                    | 『 
                      香 』 
 かのゆくえ
 いまこころにぞ
 とどめんと
 のべるそのみに
 そらまたわらう
 
 
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                    | 『 
                      金木犀 』 
 気がつけば とどまりし君 香を浴びて
 空にまかれた 星と語らう
 
 
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