『 収穫編 』 　 ひとつほど 仕事を終えて 帰る道 　 空に抱かれ 雲に包まれ ただただ沈む 朝の中 　 　　ちっ！！ 　　ったく！！ 　　こんな日は 　　芥子粒 けしつぶ 程の 　　小石までもが 　　噛みついて来やがるよ 　 　 赤紫の 向こうに見える風景は なぜかいつもの 今日の後背 　 ひとつほど 仕事を終えて 帰る朝 　 いつになったら 今日に追いつく いつになったら 痛みは去るか 　 　　それよりも 　　これから迎える 　　日の長いこと 　　これから過ごす 　　日の長いこと 　　ああんっ！！ 　　んなに得物の方が大事なのかい 　　ったく！！ 　　なにを見てるんだか 　　この種なし共が 　 　 いつになったら 辿り着く いつになったら 帰り着く いつもの朝の いつもの道で いつもの思い いつもの夢を ただただなぞる いつものように 　 　　んとにさっ！！ 　　いつになったら 　　いつになれば 　 　　ふふふっ 　　ばかだねぇ〜 　　いつかなんて 　　来るワケないのに・・・

　
　

『 物売り編 』 　 空の上の彼方より きら星ひとつ舞い降りて やがてこの実の種と宿る 　 朝を数え時を待ち 明日を数え時を経て 再び結ぶこの実の中で 　 空の上の彼方より きら星ひとつ舞い降りた そしてこの実の種と宿る 　 どうかね あんたさ この籠ひとつ 絞って飲めば 数多の時を 重ねて畳んで ひとっ飛び 　 天に昇って この実の里へ 煌めく星の直中へ 近付く昨日の夢を見て 忘れた明日の思い出に 　 どうかね あんた この籠ひとつ 望む世界は 今この中に 　 今なら安いよ ワケあって