その1
乾きったこの枝にも
痩せ果てたこの土塊
つちくれ にも
まだ
余力はあると言うことかな
ごらんよ
これを |
その2
含んで
噛んで
吐き捨てて
含んで
噛んで
吐き捨てて
踏みつけ
踏みしめ
空を見る
込めた思いは
染まった爪に
込めた恨みは
ふやけた足に
なぜか今日は
喰らい返して |
その3
赤紫の
向こうに見える風景は
なぜかいつも
今日の後背 |
その4
また
実が
ひとつ
また
房
ひとつ
空に祈りを込めて
大地に感謝を捧げ
また
実が
ひとつ
また
房
ひとつ
人への恨みを
抱きつつ
日を浴びながら
落とされてゆく |
その5
日に打たれ
月に射られて
行き場を失くし
時の満ちるを
知った今 |
その6
月が太れば
あたしも
太る
月が痩せても
あたしは
太る
太って
太って
満ちてきて
痩せて太って
太って痩せて
ただ満ちて
ただ肥大して
弾けんばかりの
今の今
ふと気が付いたよ
あたしゃ
今まで
あんたを
喰らってたんだね
ありがとよ
気が付くのが
ちとばかり
遅かったけど
でも
実を言うと
まだ
ほんの少しね
腹ぺこなのさ |
その7
あくまでも
その粒を以て
双眸
そうぼう と言い張るのなら
いつか
聞かせて欲しいものだ
今
それが見ている
光景を |
その8
舐めてごらんよ
そしたら
わかるさ
舐めてごらんよ
ひざまずいてさ
舐めてごらんよ
舐めてごらんよ
気の済むようにさ |
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