彼方へ、そして・・・ 
断続寓(愚)話 『 彼方へ、そして・・・ 』 その十七



   その十七  究せず、いられぬ球の中
 
 
 不安の海に泳ぎだし、波間の違和で一休み。
 遙か後ろを眺むれば、微小と極小踊ってる。
 そが意味する物は何事ぞ。
 そが示すのは何の解。
 
 いや、違う。
 あれには何の意味もない。
 彼等はただただ回るだけ。
 
 それにしても、なぜだろう。
 問い無き答えに窮するも、
 究せず、いられぬ球の中。
 
 一体いつからこうなった。
 一体いつから始まった。
 球の中で悩んでも、答えはいつも廻るだけ。
 彼等と同じ回るだけ。
 
 くるくるくるり、くるくるり。
 ぐるぐるぐるり、ぐるぐるり。
 ぐるっと回って振り出しに。
 くるくるくるり、ぐるぐるり。
 同じ事の繰り返し。
 
 
 例え常では有らずとも、
 例え常には有らずとも、
 ずっと続けば常になる。
 
 果て無き果ての、果てさえも。
 限りない世界に、出
いでた限りさえ。
 あってはならぬ事なれど、
 ずっと続けば常になる。
 
 常
じょう の行く末、常に定 じょう
 常の来し方、既に定。
 常も定も、何せむに。
 そが示すのは停滞ぞ。
 そが意味するは縮退ぞ。
 まさに、あってはならぬ事。
 これぞ、起きてはならぬ事。
 
 常と定、そが意味するは恒
こう なれど。
 恒が総じて、総なせば、反と合はどこへ行く。
 反と合はどう変わる。
 生まれくるのは、虚のみなり。
 生まれ出るのは、虚のみなり。
 
 もしも、この世に虚が出たら。
 もしも、この世に虚が生まれたら。
 もしや、この世に虚を生まそうと。
 まさか、ここに、虚を生まそうと。
 
 もしも、この世に虚が生まれたら。
 この世の果てまで後わずか。
 この世の限りはもう其処か。
 
 
 目指す果てまで後わずか。
 目指す限りはもう其処か。
 



 
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