亡羊の嘆 −ばうやうのたん−


 
掌に握り締めしその言の葉
今まさに投げつけんと振りかぶりし時
そが言の葉掌中にて崩壊す
あまりに強く握り締めたがためか
はたまた己 おの が重きに耐えかねたためか
後に残りしは掌の汗と熱さのみ
 
失われし言葉何方 いずち 消えゆく
失いし言の葉弔 とぶら う術も知らず
ぼう として立ち竦 すく
天を見上げるも赤く染まりし空見ゆるばかり
 
 
これをもちてあわれと解すか
をかしと解すか
行き場を失 なく したそが腕を
降ろす際 きわ にふと思う
 
やがて空の赤きも去り
ひとり残されるを知る
果たしてかの時真に崩れ去りしは何 いず れか
去来する思いを殺しつ帰るを急ぐ
もはや空に光り無し
道に迷わん事ただ願うのみ
 
『 語句解説 』

 
 
 
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