『ムーンドッグ・マチネー』 03

『ムーンドッグ・マチネー』

たまには静かに沈んでいよう
こんなに長閑^のどかで穏やかだから
　
静かに静かに
沈んでいよう
　
こんなに長閑で穏やかな夜は

腕を後に
日に向かい
胸を張って
日に向かい
ひょいっと
肩をすくめて
暫しそのまま
ゴイサギを真似てね

春の中
オニを求めて
くしゃみする
一人っきりの
かくれんぼ

プチプチ切れて
ぶち切れて
プチプチ切れて
ぶち切れて
微塵となって
空高く飛ぶ
いとめでたし
この身の愚かさ浅はかさ

知らずの内に
春色を装ったこの空は
未だ高く
まだ遠く
すべてを受け入れ
なお澄み切って

三分後の自分へ
ようそろ
ようそろ
宜しく候へ
宜しく候へ
　
事のついでに
三分と一秒前の自分へも
バックオーライ
バックオーライ
半秒前に安全確認済みました・・・
　
・・・たぶん
　
まだ未確認情報なもんで・・・
なんせ、未来の事だから・・・

ベンガラ塗った空を背に
ベンガラ色の空を背に
　
頼もしきかなその色は
懐かしくもあるその色は
　
曇^どんだ天の晴れ化粧
寂^さびては返える
天の凱歌^がいか

カンガエテハイケマセン
オモッテハイケマセン
イガナイテマス
イガナイテマス
トハイウモノノ
イウモノノ

寒空に
陽光を身体いっぱいに浴び
青ざめた顔をして
その半身を置き去りにしたまま
凍った池から昇ってきた月は
冷ややかな冬の陽射しに射抜かれて
僕はと言えばただただ凍てついて

小指の先
薬指の真ん中
人差し指の真ん中も
　
真っ赤になって
かゆかゆと
真っ赤になって
かさかさと
　
水に手入れたら
同じ位置
真っ赤な真っ赤な吃水線