彼方へ、そして・・・ 
断続寓(愚)話 『 彼方へ、そして・・・ 』 その一



   その一  はじまり
 
 
 遮莫 さばれ 君が生まれた。
 いつのことだったろう。
 どんな日だったのだろう。
 
 でも今となっては思い起こすすべもない。
 
 
 最初の記憶は闇。
 ちょっと寂しかったので光を創った。
 なぜか、影も一緒に生まれた。
 
 創りついでに色も付けた。
 
 
 遮莫君音を創って、ふと思う。
 何か寂しい何か淋しい。
 何か足りない、いや何もかも。
 
 でも一々創っていくのは面倒くさい。
 
 
 ぶぁっはっはっ、悩むこと無い。
 答えはすでにあったから。
 創る者を創ればいい。後はそれに任せよう。
 
 かくして、それは動き出す。
 
 
 遮莫君が命令したのはただ一つ。
 『汝ガ意志ノ儘 ママ ニ』
 それが返した答えも一つ。
 
 『詮方 せんかた ない』
 
 
 後は任せて久遠 くおん の流れに、しばし沐浴 もくよく 、一眠り。
 どこかで、ささやく声がする。
 いつもどこかはいい天気。
 
 答えて曰く遮莫君、ここはいつでもいい天気。
 


 
 
彼方へ、そして・・・ 目次へ彼方へ、そして・・・ その二へ

 
 
gosadon's tweetsCopyright ©1999 gosadon All rights reserved

風鏡譚 −ふうきょうたん−
『 ごさどん.ねっと 』
Copyright ©1999-2024 gosadon All rights reserved