彼方へ、そして・・・その六

　　　その六　　おいおい頼むよ
　
　
　優雅に回る、そうなんだ。
　上から見たら美しかろう。
　横から見たら楽しかろう。
　ふと考えた詮方ちゃん。
　
　詮ちゃん、上に移動する。
　一緒に動く、そうなんだ。
　ちょっと、横に移動する。
　みんなそろって付いてくる。
　みんなの真ん中、詮方ちゃん。
　いつでも中心、詮方ちゃん。
　
　おいおい頼むよ、そうなんだ。
　みんなの動きを見たいんだ。
　動きを外から見たいんだ。
　だからお願い、そうなんだ。
　付いてくるのは止めとくれ。
　
　やっとの思いで詮方ちゃん。
　言い聞かせたよ、そうなんだ。
　真ん中飛び出る、詮方ちゃん。
　優雅に踊る、そうなんだ。
　優雅に回る、ありゃりゃりゃりゃ。
　
　詮ちゃん真ん中出たとたん。
　踊りのその輪はバラバラに。
　勝手に回る、そうなんだ。
　昔に帰った、そうなんだ。
　あっちでくるくる、こっちでぐるり。
　くるくるぐるり、くるぐるり。
　
　頭を抱える、詮方ちゃん。
　頭だけじゃ物足らぬ。
　膝も抱えて考えた。
　丸くなって考えた。
　それでも答えは見つらぬ。
　この先、どうすりゃいいんだろ。
　
　丸くなって、じっとして。
　一人で悩む詮方ちゃん。
　頭の中は、ぐるぐると。
　心の中は、ゆらゆらと。
　不安に駆られ、うろうろと。
　これから、どうすりゃいいんだろ。
　
　ふと、気が付くとあたりでは。
　ぐるぐる回る、そうなんだ。
　詮ちゃん囲み、ぐるぐると。
　先程までの大騒ぎ、一体どこへ行ったやら。
　ついついつられた、詮方ちゃん。
　みんなの注目、詮方ちゃん。
　ゆっくりその場で笑い出す。