その四 とにかく、どうする とにかくできた、とにかくが。 しばし見入った、詮方ちゃん。 これが一体何になる。 これを一体どうしよう。 とにかく造ろう、もう少し。 造ってみれば、思いつく。 造ってみれば、わかるはず。 とにかく造ろう、もう少し。 でも、待て、待って、その前に。 手がふさがってると造れない。 手にある、とにかくどうしよう。 とにかく、とにかくどうしよう。 悩んでいても、仕方ない。 詮無きことか、さ、は、れ。 その手を開いた、詮方ちゃん。 その手をどかした、詮方ちゃん。 一瞬悩んだ、とにかくは。 ちょっと困った、とにかくは。 やがて、その手を滑り出す。 とにかく、ぼんやり輝いて。 うっすら光る、尾を引いて。 目指すは一体どこなのか。 それを見ていた詮方ちゃん。 何とも、何とも美しい。 こぼれる涙も、気づかずに。 もっと造ろう、とにかくを。 もっと飛ばそう、とにかくを。 一心不乱の詮方ちゃん。 とにかく造る詮方ちゃん。 ここ、そこ、どこぞに、とにかくを。 とにかく飛ばす詮方ちゃん。 とにかく造った、その数は。 とにかく飛ばした、その数は。 とにかく河のできるほど。 とにかく海のできるほど。 一方、飛び出たとにかくは。 飛ぶのに飽いて一休み。 あちら、こちらでぼんやりと輝きながら一休み。 来 こ し方行く末考えて。 そっとつぶやく、独り言。 あまりの遠きにつぶやきは。 まだまだ、ここへは届かない。 まだまだ、ここでは聞かれない。 |