その十二 すべての少し外側で ほう、こんな所に客人とは。 ここは、どこ。 ここか、ここは果てのちょっと外側じゃ。 果てのちょっと外側。 そう、すべての少し外側じゃ。 あなたは。 唯一無二の存在に、名前なぞ必要なかろう。 唯一無二。 他者と区別する必要がないと言う事じゃ。 私は、誰。 それは、わしに聞く事じゃなかろうに。 どうしてここに。 さあな。 どうしたら。 お好きなように。 教えて。 何をかね。 すべてを。 無理じゃ。 無理。 いや、無駄。 そう、無駄じゃ。 ぬしが求めるような物は、ここには一切無い。 意味のない事なんじゃ。 ここで意味があるのは、存在だけじゃ。 いや、存在こそが、無意味の最たる象徴か。 いずれにせよ、こちら側では無用の物じゃ。 しかすがに、無用の用と言うことも・・・・・・。 いやいや、気にせんでくれ、独り言じゃよ。 ふぉっ、ふぉっ、ふぉ。 奥つ城 おくつき じゃと、ここが奥つ城所 おくつきどころ に見えるかね。 まあ、ある意味そうかも知れんがの。 なかなか、おもしろい発想をするもんじゃな。 ふぉっ、ふぉっ、ふぉ。 して、これからどうするつもりじゃ。 ぬしは、どうしたいんじゃ。 まあ、ここは、滅多な事じゃ来られん所じゃて。 適切な問いを見いだすまで、辺りを迷走するのも一興じゃな。 あらま、わしとしたことが、迷走じゃなくて瞑想か。 ふぉっ、ふぉっ、ふぉ。 ただし、こんな所でも決まりが一つだけある。 よいか、それはの。 ふぉっ、ふぉっ、ふぉ。 『汝ガ意思ノ儘 ママ ニ』じゃ。 ふぉっ、ふぉっ、ふぉ。 努々 ゆめゆめ 忘れんようにな。 |